大人への通過儀礼

 前回は、『まどか☆マギカ』における魔法少女を「大人の世界に放り込まれた存在」と解釈してみました。ここから話を進めて、魔法少女になる契約を「大人の世界に入る為の通過儀礼」として解釈してみると、こちらのブログで書かれていた5話の契約シーンの演出が意味深なものに見えてきますね。

魔法少女まどか☆マギカ 第5話:契約=破瓜? ― アニメ元ネタ解析

 5話で描かれた契約シーンは、個人的には悪魔の契約のイメージで見ていたので魂を抜き取る「死のイメージ」の方が強いのですが、同時にこうした「破瓜のイメージ」も感じられますね。エクスタシーというのは死につながるイメージがあって、絵画や小説ではこの2つのイメージを重ねて描かれていることがよくあります。また、あえてキュウべぇが雄と設定されている理由の1つになりますね。


 また、ここで触れられている「魔法少女が使っている銃や剣、槍などが男性器の象徴」という解釈はこちらのブログでも見かけました。

『魔法少女まどか☆マギカ』の精神分析(上) ― アニメ分析/

 こちらの記事の精神分析はやや強引な気がしましたが、「憧れの母」を失うことが、まどかが魔法少女の契約を決意するキッカケになるのではないか、という結論は確かにありそうですね。
 9話で、杏子がまどかに「家族に囲まれて何不自由なく暮らしている幸せな奴が魔法少女になることはない」といったことを言っていたり、2話でさやかが「自分たちは幸せバカだ」と言っていますし、裏返せば、家族を失うような不幸な状況に追い詰められる展開はあるのではないかと。強引な形で「親からの自立」という通過儀礼をくぐり抜けることで契約に至るわけですね。


 どちらにしろ、まどかが夢を見ていられる「少女」ではなくなった時、それくらいシビアな現実に直面した時に契約を問われるという展開にはなると思います。