ウルヴァリン

参考 wikipedia:ウルヴァリン(アニメ)

 CSアニマックスにて全12話視聴終了。『アイアンマン』に続くマーベル・コミックのアニメ化企画第2弾。ちなみに映画版は観ていません。政略結婚の為にさらわれた恋人の真理子を取り戻す為に、主人公のウルヴァリンことローガンが日本、さらにマドリプールという島へ転戦していくというストーリー。細かい設定や描写にツッコミ所もありましたが、アクション主体の単純な作品なので気にするだけ野暮でしょう。

◆ストーリーについて

 恋人を救い出す戦いを12話かけて描いているのに、その恋人は最終回で流れ弾にあたって死亡。また親友だった捜査官を殺したのは、これまでローガンと共闘していた雪緒だったと明かされ、さらにその雪緒も死亡。事実関係だけ挙げると悲劇的な展開ですが特にそういった印象は受けなかったですね。悲劇として盛り上げたり、逆に淡々と無常な世界観を見せる訳でもなく、ラストシーンはライバルとの決闘シーンで締めています。所詮は一匹狼、といったハードボイルドな雰囲気を狙ったのかもしれませんが、取ってつけたような展開でとりあえず話を畳んだだけ、といった何か煮えきらない印象です。

◆アクションについて

 ストーリーがいま一つな分、アクションがメインにならざるを得ないと思いますが、アクションについても全体的に平凡で殺陣や動きで目を惹く部分はあまり無かった気がします。敵がパッとしなかったことも響いていますね。
 ルパン三世石川五ェ門のようなキャラの美影桔梗は敵の中では存在感がありましたが、自分のこだわりの為にローガンを助ける等ほとんど助っ人キャラ扱い、ラストシーンで決闘していますが出だしで終わってしまい、内容は描かれませんでした。
 それ以外の主要な敵であるオメガレッドや神像ヴァダカはひたすらタフでしぶとかった印象しかないですし、恋人の政略結婚の相手である黒萩秀樹は卑怯なだけの小悪党で、キャラ立ちした敵は実質ラスボス扱いだったヤクザの親玉で恋人の父、矢志田信玄くらいですね。信玄は剣術の達人で空手も使い、特殊合金製の鎖かたびらを装備という無敵っぷりでローガンを圧倒しますが、最後は唐突に逆転勝利。
 こうした「苦戦していたローガンが最後に一撃であっさり逆転勝利」というパターンばかりだったのも、あまり主人公の強さが感じられず単調なバトルに見えた原因の気がします。

◆その他

 アゴの尖った細身のデザインはやや癖が強いですが、シリアスなアクションものなので萌え絵的なキャラクターデザインよりはこうした劇画調のデザインで良かった気がします。
 OPテーマやEDテーマは『アイアンマン』と同じく映画のサントラ風やハードロック調のインスト曲でイメージに合っていましたね。個人的には歌謡曲的なテーマ曲が付けられるより高評価です。
 これでストーリーにもう少しひねりがあるとか、バトルの演出が良ければ印象が大きく違っていたのではないかと思いました。ハリウッド映画にもなったメジャー作品で、普段アニメを見ない層にもアピールしやすい素材なだけにもったいないですね。